デコくんとボコちゃん


ギュッと目を瞑って痛みを覚悟したのに、それは違う感覚に守られた。


「危ねえ…」


大きな体が、ふわりと私を包む。


た、たたたっ…た…


「高瀬くんっ!?」


まさか支えられるとは思ってなくて。


私は一瞬でそこから離れた。


…離れたあとに後悔。


もっと、さっきみたいに…


「大丈夫か?」


「だ、大丈夫!全然!!」


ほんとは、いろんな意味で大丈夫じゃない。


「そっか」


微笑んで、高瀬くんはまた歩き出す。


“スキ”


この瞬間ハッキリと自覚した。


前を歩く高瀬くんの、Tシャツの裾をそっと握る。


「何?」


「うっ…ううん、なにも!」


それ以上、お互い一言も話さなかった。


ねえ、高瀬くん。


私のことどう思ってる?


好き?…嫌い?


私は好きだよ。


もう一度振り返って、ぎゅって抱きしめてほしいよ。