「もっと先行く?」
「ん〜……ふふ、おるぁ!!」
「っわ!?ブクブクゴホゴホッ…!」
何が起きたかお分かりだろうか。
「あっはははは!!」
私が全体重を預けている浮き輪を高瀬くんが取り去ったのである。
当然溺れかけた私は、必死に高瀬くんの首にしがみつく。
「…ゴホッ…ばかぁああ〜〜!!」
「ご…ごめ…ぶっ!!」
「笑わないでよー!!」
悪魔だ…白いところが1ミリもない悪魔だ…
そんな悪魔は爆笑しすぎて死にかけている。
「はいはいごめんて…よっと」
「わ…」
高瀬くんは笑いながら謝ると、私の体を片腕で抱えた。
さっきよりもずっと、顔が近くにある。
肌と肌が触れ合って、かなり恥ずかしい。
私がこんなドキドキしてるのに、満面の笑みを浮かべる高瀬くんはずるい。
「もう離さないでね」
「どうだか?」
「もう!!」
私をからかいながらも、腕に力を込めたのが分かった。
