デコくんとボコちゃん


「海だあーー!!」


叫ぶ私の前には、広い海。


隠れスポットらしいから、人があまりいない。


…っていうか、私たち以外に一組のカップルしかいない。


「じゃー俺はあっち行くねー」


春樹くんは、撮影場所へトコトコ歩いてゆく。


と、途中で振り返り


「シュンちゃん代わりに遊んでてー」


言い残して、また歩き出した。


「大丈夫なんですか?」


千和が聞くと、何やらトランクを開けてゴソゴソ探し始めた。


そして…


「用意してあります」


手には水着やゴーグル、さらには浮き輪やビーチボールなど。


「用意周到なんすね…」


「さすがだね…」


なんだか、執事みたい。


「じゃあ、私たちも着替えてくるね!」


そう言って、私たちは別れた。