最後のフレーズを歌い終わった後、ほんの少し間を置いて
「すごい!すごいです俊さん!」
車内は拍手喝采。
「ちょっ…千和ちゃんー?泣かないで?」
その声に驚き振り向くと、千和が涙を拭っていた。
「…っごめ…感動しちゃって…」
千和ってこんなに涙もろかったっけ?
「あーあー。シュンちゃん女の子泣かせちゃったー」
「え、俺ですか」
「そうだよー。もー」
相当な歌声だよ、俊さん。
「高瀬くんも見習わなきゃね?」
「うるせー」
楽しい楽しい移動時間はもうすぐ終わり。
車窓からは、キラキラ輝く海が見えていた。
