デコくんとボコちゃん


「ねーシュンちゃん、歌ってー」


すると、春樹くんが俊さんに声をかけ、ケータイを操作してバラード曲を流し始めた。


「しょうがないですね」


ふぅ、と息を吐いたあと…。


「え…?」


掠れた声が、車内を満たしていく。


最初は小さく、そして大きく。


見えるのは後ろ姿だけだけど、なんだか切なげで。


胸の奥に響くような…


「すごい…」


「やべえ…」


私と高瀬くんが呟き、千和はただただ驚いた顔をしている。


春樹くんは、誇らしげに微笑む。


「…君を愛してるから」


………


…………………。