「やあ、おはよー」
海、当日。
小型のバスから出てきたのは春樹くん。
うちの前に並んで立つ、私と千和と高瀬くん。
目の前には、小型のバスが一台。
「これがロケバスってやつ?」
そう。
忘れかけていたが春樹くんはモデルだ。
「俺以外は乗らないから、どぞー」
「わっ、ありがとう!」
手を差し伸ばされ、私と千和が乗り込む。
「どうぞー?」
高瀬くんにまで紳士な姿な春樹くん。
「俺はいらん」
それを華麗に避け、私の隣に高瀬くんが座った。
「じゃあシュンちゃん、れっつごー」
シュンちゃんと呼ばれた運転手の男の人は、キチッとシャツを着ている。
「分かりました」
何のなまりもない、標準語な話し方。
「彼は俺のマネージャーさんだよー」
「黒崎俊です。よろしくお願いします」
車を走らせながら答える黒崎さん。
「よろしくお願いします、黒崎さん!」
「俊で良いですよ」
「じゃあ、俊さんで!」
銀縁メガネが似あうなぁ。