「おーい、月島ー」


そして放課後。


相変わらずの早さで私を呼ぶ声がする。


「はいはーい」


なんて軽いノリで関われることが、すごく嬉しい。


「どーしたの?」


廊下側の窓から顔を覗かせると、


「じゃーん」


高瀬くんはテストを持っていた。


「えっ、高瀬くんってそんな頭良かったの?」


点数は全教科私よりも10点くらい高い。


「はあ?当たり前だろ」


「いやー、私と同じくらいかと思ってた」


「失礼な!」


「そっちこそ失礼でしょ!?」


ぶすっとしていると、


「ごめんごめん…って、そうじゃなくて。
夏休み海行かね?」


なんかとてもすごいことをサラッと言われた気がするよ。


ポカーンと口を開けたままの私に、高瀬くんは説明を続ける。


「いやー、春樹がさ?撮影かなんかで海行くらしいんだよ。それでテストお疲れ様ってことで、もうすぐ夏休みだし…って聞いてる?」


「…はっ!聞いてるよ!」


つまり私は高瀬くんと春樹くんと、それから千和も誘って海に行けるってわけね?


「無理ならいいよ?」


「行く!行きます!行かせてください!!」


残念そうな顔をする高瀬くんに向かって、全力で頭を下げる私。


「よっしゃ、じゃあまた連絡するわ」


ひらひらと手を振る高瀬くんを見送り、私は心の中で叫んだ。



夏がきたあああーーー!!!