そうこうしているうちに、家に着いた。
マンションの3階、いちばん右の部屋。
電気の点いていない、真っ暗なとこが俺ん家。
俺、ひとり暮らししてんだぜ!
なんて自慢できるけど。
本当は月島ん家みたいな、帰ればいつも明るい家が羨ましい。
家に入り、真っ先に行くのは仏壇の前。
優しく微笑む女性の写真が飾られている。
「ただいま、母さん」
そう。これはおれの母さん。
中1の時に病気で死んじゃってさ。
…父さんは俺と姉を親戚に預けて逃げた。
未だどこにいるのかは分からない。
まあ、こんな生活にも慣れたけど。