デコくんとボコちゃん


──昼休み。


「月島ー!」


チャイムが鳴るのとほぼ同時に呼ばれ、驚いて廊下の方を見ると


「…高瀬くん?」


なんと、高瀬くんがいた。


ちょっと、と手招きをされ、行ってみると爽やかな笑顔が待っていた。


「これ、昨日のお礼」


ほいっと渡されたのは、自販機で買ったであろうジュース。


不思議なことに、冷たかった。


いつ買ったんだろう?


「お礼を言うのはこっちだよ!ありがとうっ」


笑顔でお礼を言うと、なぜだか驚いた顔をされた。


「どうした、その手!?
まさかあの時…?ごめん、月島!」


「ふぇっ…えっ、ええ!?」


いきなり手を握られ、どうしていいか分からずアタフタしていると、それ以上に焦っている彼が口を開いた。


「ごめん、今度お詫びさせて…」


「そんなっ、大したことないし!」


申し訳なさそうに顔を歪める高瀬くんに、私は首を振る。