「は、早かったな!…ってお前…髪ビショビショじゃん」
気を取り直して琴李を見ると、セミロングの髪の毛からポタポタと滴がこぼれていた。
「そうかな?いつもこんな感じだよ?」
タオルでわしゃわしゃっと自分の髪を拭くその手を、俺はガシッと掴み強制的に座らせた。
「風邪ひくから、ちゃんと乾かさねえとダメだろ?」
「アハハ、ごめんごめん」
そっとタオルで撫でるように拭いていくと、琴李が眠そうにアクビをした。
眠いのか…?
まあ、もう遅いしな。
タオルをドライヤーに切り替えると、眠気はさらに増したようで。
カクン…カクン…と小さな頭が揺れる。
時折、琴李の頭が後ろに落ち、ドライヤーにガツンとぶつかる。
その度に、「あたっ…」と眠そうな目をパチパチさせる彼女が、可愛くてたまらない。