ご飯を食べて、私は大事なことに気がついた。
…プレゼント渡してない!
伊吹くんは、ドラマを見ながら笑っている。
紙袋と伊吹くんを交互に見て、いつ渡そうか悩んでいると
「どーした?」
不思議そうに覗きこまれたので、慌てて何でもないと首を振る。
こういうのって、渡すタイミングも大事だよね?
誰か今だ!って合図をください…!
すると…
「なーに、これ?」
そんな声が降ってくると同時に、ヒョイッと取り上げられる紙袋。
「あっ、ダメ…!」
伊吹くんがそれを眺めてニヤニヤしている。
「もう、返してよー!」
「やだ」
「もー!ダメなの!」
取り返そうとするも、意地悪く高い位置でヒラヒラさせるから、私には届かない。
「ね、開けていい?」
「はぁ…もう、どーぞ!」
諦めた私は、なんとなく恥ずかしくてそっぽを向いて、紙袋が開けられる音だけを聞いた。