恐る恐る写真をめくってみる。
そこには──
“ダメな父親ですまない”
たった一言。
それだけだった。
だけど言葉足らずの父親の気持ちが、今の俺には痛いほど分かった。
…ごめん、父さん。
母さんのこと、いちばんに考えていたのは…父さんだったよな。
だってあんなに、好きだったもんな。
どうして俺は、気づかなかったのだろう。
部屋で静かに流していた、父さんの涙に。
「……っごめん…!父さん…っ」
悔しさで涙が溢れる。
ポタポタと、写真に涙が滲む。
この時、俺は決心した。
父さんと俺たちの空白の時間を取り戻そう。
「…もしもし、ご無沙汰してます。伊吹です」
ようやく止まった涙を拭い、俺はある人に電話をした──
