デコくんとボコちゃん


星を見ながら、思い出す。


あの日…父さんが出て行った日のことを。


父さんは自分の部屋から大きな荷物を持ちだして、それからリビングで何かを探していた。


なんだっけ。


テレビの横の、上から2番目の棚を漁っていたから…


あれは、アルバムの棚だ。


そこから1枚の写真を取り出して…


何かメモをしていた気がする。


「……っ…!」


そこまで思い出して、ハッと気がついた。


あの棚の写真は、おばさんが俺に持たせてくれたんだ。


マンションに引っ越す時に、まとめてくれた。


どうせ見ないと思って、ずっとしまっていたけど…


俺は立ち上がり、公園から家までを猛ダッシュで駆け抜けた。


暗い夜道に躓きながらも、ひたすらに。


家に上がり、靴を並べるのも忘れて、押し入れにあるアルバムを引っ張りだす。


写真の裏を、ひとつひとつ確認する。


「これじゃねぇ…くっそ、どれだよ!」


そして見つけた。


俺たち家族が4人で笑っている、1枚の写真を。