秋が終わり、冬になった。


「寒いね〜」


隣で手を擦り合わせる彼女の頭は、相変わらず低い位置にある。


その手を無言で握る俺は、本当に素直じゃないと自分でも思う。


手繋ぎたいから握ったんだよ、バーカ。


「わっ…伊吹くんの手、あったかいね!」


それなのに無邪気に笑うこいつ。


こうやって手を繋ぐのも当たり前になってきた。


だけど、この当たり前が、いちばん幸せだ。


「今日さ、うち来るか?」


別に、なにかあるわけでもないけど。


今日はもう少し、一緒にいたいから。


「えっ、いいの?行きたい!」


「っしゃ、じゃー決まりな」


こうして俺は、初めて彼女を家に上げることに。