「千和っ!!」
千和の背中を見つけた私は、その後ろ姿に叫ぶ。
「琴李…」
千和は立ち止まったものの、こちらを振り向かない。
「どうしよう、琴李」
でも、ぽつりぽつりと話しだす。
「私ってサイテーかも」
どうして?
千和はサイテーなんかじゃないよ。
「春樹くんに告白されて、ちょっと嬉しかった。私は俊さんのことが好きなのに、好きなはずなのに…気持ち揺らいじゃった。あんな風に告白されるの初めてだし…なんていうか、胸がぎゅって締め付けられたの」
そっか。
千和は自分のことになると、分からなくなっちゃうんだよね。
「千和、それは今決めなくってもいいよ」
「でも…こんな気持ちのままだと、ふたりに悪いよ」
優しいから。
みんなのこと、ちゃんと思ってるから。
「そんなの、気にしなくていいよ。
千和がちゃんと自分の気持ちが分かるまで、俊さんとも春樹くんとも…しっかり接しなきゃ」
