「あの、千和…?」 「……ごめんっ…!」 千和はくるりと背を向けて走り出した。 あの日の私のように。 行かなきゃ、追いかけなきゃ。 千和には私しかいないから。 「行ってやれよ、親友だろ?」 いつの間にか近くに来ていた伊吹くんに、背中を押される。 「あいつのことなんか、お前にしか分かんねーだろ」 「うん、ありがとう」 その言葉に勇気をもらい、私は千和を追いかける。 千和は優しいから、自分の中でため込んでしまう。 だから、私が聞いてあげなきゃ。