デコくんとボコちゃん


「えーっとねー、佐々木千和さん。

君に大切な人がいるのは知ってるよ。でも、俺は君のことが好き。初めて会った時からずっと綺麗だなって思ってた。滅多に笑わないけど、たまに見せる笑顔が可愛くって…俺のものにしたいって。

…返事はいらない。ただ俺の気持ちを聞いて?」


会場全体が、一気に静まる。


でもみんなその人の方を見ていて、真剣に聞いてた。


顔の見えない、あの人を。


「なに、これ…」


当の本人は春樹くんのことに気づいていた。


今起こっている状況が飲み込めていないようだ。


「じゃーねー、ありがとー」


春樹くんはいつもの調子に戻り、マイペースな様子でステージを降りた。


春樹くんが、千和のことを好き。


でも千和には…


俊さんがいる。