折られてダラリと下げた右腕。

首を摑まれたまま持ち上げられ、マーズは虫の息だ。

「案外呆気なかったな。もう少しくらい頑張ってくれるかと思ったんだが」

エフェスはマーズを見ながら言う。

「まぁ死に体の相手をいつまでも嬲るのも俺の趣味じゃない。さっさとトドメを刺してやるとするか」

ぶら下げたままのマーズの胸に、掌を添える。

この一撃を以って、ジュデッカを倒した反逆者の始末は終わりだ。

そう考えていたエフェスの視界の端に。

「……?」

閃光を放ちながら、何かが接近してくるのが見えた。

高速で飛翔してくる物体。

それが人だと分かったのは、程無くしてからだった。

「ほぅ」

エフェスはニヤリと笑う。

「こりゃあ驚いた。俺に叛逆を企てる奴がまだいたんだな」