タバコを消して顔を上げると、目の前に緋色が立っていた。
「不良だなぁ。紅、元気だった?」
言いたい事、たくさんあったのに、笑顔と大好きな香りに包まれると何も言えなくなった。
「紅、明日は?僕オフだからドライブでも行かない?」
嬉しい誘いにときめく自分。
ほんと嫌になる。
そんな時、後ろからクレハが呼んだ。
「ひーいーろー!」
「じゃあ、後で電話するね。行きたい所考えておいて。」
ぽんっと頭に手を乗せると、緋色はクレハの元に行ってしまった。
そしてそのタイミングで雄太が戻って来た。
「すみません。何がいいかわからなくて、とりあえずビールもらって来ました。」
優しくて誠実な年下の男。
昔の私だったらさっきの告白にすぐに返事をしていただろう。
今は器用に返事が出来そうもない。
「戻ろっか?」
ニッコリ笑って雄太の背中を押した。
部屋に戻ると、咲良が心配そうに私の顔を覗いた。
「紅、大丈夫?」
「うん、大丈夫。少し強くならなきゃね。」
「そう…。何かあったらすぐに言うのよ?あんたすぐ溜め込むから。」
「ふふふ。やっぱり咲良は私のことわかってるね。」
「付き合い長いし、男でもあるし女でもありますのでね。」
和やかに時間は進み、携帯の時計を見ると夜中の2時を過ぎたところだった。
青柳や他のスタッフは二次会へ行こー!と 、店の前でタクシーに乗り込んだ。
そして緋色とクレハもタクシーに乗って私の目の前を通り過ぎた。
叫びたい。
「あぁぁぁぁーーーーっ!!」
突然叫び出した私に、残った京果と咲良、雄太はぎょっとした顔で私を見た。
「飲み足りない!ラパーチェ行こう!」
