また吐き気がする。

ムカムカムカムカ

イライライライラ




大きく息を吸って、ムカムカとイライラを飲み込んだ。

ここで2人に愚痴っても仕方が無い事だから。



「…それより、皆さんはなんで?」
「あ、ほら、京果さんの紹介もあるし、椎奈さんには一度メジャーでお世話になってるからさ。」
「ボクは初めてだから、ドキドキなんだけどね。」
七緒は手のひらを口元に当てて、おどけて見せた。




物語が加速して行く。
私のダイヤモンドを蹴散らしながら。

砂粒のダイヤは輝きを失いかけている。







2人が手を振って関係者席に消えて行くのを観て、階段を登り、最上階へ行った。

ドームが全て見渡せる。
ステージではアンコールが流れていた。

私はどうしたいのだろう。

柊の事が、本当に好きなのか。
ただ、プライドを傷つけられたから苛立っているのか。

緋色の事が好きなのか。
ただ、優しくされたから惹かれてるだけなのか。

自分で磨けるダイヤモンドは、どれだろう。



客電が付いて、人の波が外へ動き出すのをずっと見ていた。