なんなの、あの男。やけにあいりさんに近いし



「あいりさん!」



「あ、蓮くん」



「その男、誰っすか」



「けんとくんだよ?」



なんで下の名前で呼んでんだよ




「どーも。あいりちゃんの隣人です」



「どーも。」




てか、なんであいりちゃんなの?
つーか、隣の席なの?ムカつく。俺なんか隣の席どころか、同じクラスさえなれないのに



「あいりさん、1か月間、喋りかけないでください」



「え?なんで?」



言い方、悪いけど



喋ったらいけないのは事実だし。



「先生に言われたんです」



「どうして?」



「反抗的な態度を取ったのと……」



言いづらいな



「のと?」



「お前は彼女無しでも生きていかないとダメなんだから~って言われたんですよ」



「なにそれ」



あれ?あいりさん、怒ってるのかな



「あいりさん?」



「先生はあいりが蓮くん無しでも生きていけるはずって言ったかも知れないけどあいりは蓮くんが居ないとダメなの!」



え、じゃあ手放さなくてもいいってこと?



「本当っすか?」



「うん。その先生を説得しにいく」



「けど、仕方ないから、諦めましょう」




「蓮くんはあいりと喋りたくないんだ」



「そういうわけじゃ」



どうしよう。怒らせちゃったかな?



「愛里。俺が説得しといてやったから普通に喋っても大丈夫だ」



「大和〜。ありがとー!好き!」



「おわっ、お前、いきなり飛びつくな」



「えへへ。ごめーん」



「愛里、離れろ。ひなに誤解されるし蓮がすっげー睨んでる」



「え?あぁ、ごめんごめん」



なんで抱きついてんの。なんでえへへって笑ってんの。なんで大和にばっか優しくすんの。もうやだ。



「蓮くん?ごめんね?」



「俺、頭冷やしたいんで当分の間会えません」



「もしかして怒ってる?」



はい。怒ってますよ。だから、当分の間会わないんだ。そしたら、寂しくなってあいりさんから会いにきてくれるよな?




「いいえ。怒ってないっすよ」



「蓮くんって嘘つくの下手だよね」



「そーっすか?」



「うん」



「そーっすか」



「蓮くんはいつも大和と比べてるけど比べる意味あるの?」



「ありますよ。あいりさんの好きだった人だから」



「え?」



「大和は知らねぇかもしんねぇけどあいりさんはずっと大和のことが好きだったんだ」



「そうだったんだ。俺も好きだったんだけどな」



「え?そうだったの?」



「ああ」



あームカつく。なんで?なんで俺じゃダメなの?また大和のことを好きになるんでしょ?あー泣きそう


あいりさんに泣き顔なんて見られたくない



「蓮くん。泣きそうな顔しないで」



「すいません」



「謝ってほしいわけじゃない」



「俺、明日からあいりさんに極力会わないようにするんで。じゃ、失礼します」



「蓮くん!」



呼んだって無駄だよ。あいりさん
俺、余裕無さ過ぎですね



「蓮くん!大和と比べないで!蓮くんは余裕なくてワガママで嫉妬深いけど
あいりは蓮くんのそういうとこ好きだよ」



「え?」


あ、無意識に立ち止まっちまった



「蓮くん。なんの為に会わないようにするのか知らないけど、あいりは会いに行くから」




「何でですか」



「蓮くんの事が好きで好きで仕方なくて嫉妬もしちゃうぐらい蓮くんの事が好きだから」



え、なにそれ。聞いてないよ
めっちゃ嬉しいんすけど



「あいりさん。俺も好きっす」



「あいりは大好きだもん」



「あはは。意地っ張りっすね」



そういうとこ、好きっすよ



「人前でイチャつくな」



「あ///// 大和見てたの?」



っちぇ、邪魔しやがって



「バッチリと」



「もう///// 見ないでよ」



「見せつけるお前が悪いのー」



「うるさいなぁ。生徒会長はさっさと仕事しろ」


いいなぁ。仲いいって感じだな


俺も呼び捨てしたいし、呼び捨てされたい



「ほら、また蓮が睨んでる」



「え、あぁ。大和のせいでしょ?」



「人のせいにすんな。バカ女」



「バカ女で悪かったな。真面目男」



「もう…ぽんぽんヽ(・ω・`)」



「/////っだから、頭ポンポンは…」



やだ。イチャイチャしないでよ。俺の目の前で大和とイチャイチャしないで


っぎゅ



「蓮くん?!」


そんなに驚くの?俺が抱きついただけで




「やだ。イチャイチャしないで」



「/////蓮くん、1回離れて」



「やだ」



すごい、ワガママだな



「蓮。離れろ」



は?なんで大和に指示されないといけないの?



「やだ」



「愛里を見てみろ」



「え」


なんでそんなに顔真っ赤なの?



「あいりさん?」



「/////ごめん。恥ずかしくて」



「すいません」



「蓮くん。お願い聞いてくれる?」



「いいっすよ」



お願い?なんだろ



「あいりさんじゃなくて、先輩か呼び捨てがいい」




「わかりました。……あいり先輩」



「えへへ/////嬉しい」



え、なにその顔。破壊力ハンパないっすよ



どーしよ。抱きしめたい




っぎゅー



「蓮くん?」



「え、あ/////」



「好きだよ」


っちゅ



え。今何が起こった?



「愛里。ここ、廊下な」



「え//////////忘れてた」



「あいり先輩って忘れんぼうですよね」



「もう。大和〜。このガキどうにかして」



「ガキってなんすか」



「蓮。さっきガキでも何でもいいって言ってたよな?」



「あいり先輩に言われるのは嫌なの」



「ふーん。じゃ俺、教室戻るわ」



「おう」



「バイバイ」



あいり先輩って、ほんっとに大和に優しいよな



「あいり先輩、このままサボりません?」



「ダメだよ。優等生」



その感じ、嫌だな



「優等生じゃありませんよ」



「優等生じゃなくてもサボりはダメです」



その喋り方、大嫌い。

年下って言われてるような気がして嫌だ



「その喋り方、嫌いです」



「え?」



「お姉さんみたいな喋り方、嫌いです」



「ごめんね?」



「いや、ワガママですいません」



「ううん。ちゃんと言ってくれたほうが嬉しい」



「これからは、ガンガン言います」



「え、嫌だなぁ」



「えぇー。」



「うそうそ。ほら、予鈴なったから教室戻るよ」



「はーい」