六十年後のラブレター


ホームに響きわたる列車の音は、今までに聞いたどんな音よりも哀しく聞こえた。

ガタン…ゴトン…ガタ…ゴト…

次第に速くなっていく車輪の音。

「…かんで…。」

優子は静かに口を開いた。

涙が頬を伝う。

「行かんといて…!」

今見送ったばかりなのに…

たっちゃんと約束したのに…!

必死で列車を追いかける優子。

追いつけないと分かっているはずなのに、それでも必死で走り続けた。

「優ちゃん…。」

達也の目から涙が溢れる。

人を掻き分けながら、列車の最後尾まで行き窓を開けた。

「優ちゃん!」

「たっちゃ――――…!」