六十年後のラブレター


ないたらおえん…。

笑顔で送り出すんじゃ。

笑顔で―――…。

決めていたはずなのに胸は痛み、瞳からは大粒の涙が溢れ出る。

「優ちゃん…。」

心配そうに呟く達也。

扉がかたくとじる。

もう二度と開かない。

優子への想いが、達也の頬を濡らしていく。

窓を開け、達也は叫んだ。

「…好きじゃ!優ちゃんが好きじゃ!」

ひたすら隠してきた想い。

心配かけまいと声を押し殺してなく優子の姿と、戦死たちを死のフィールドへと送り出す鉄のかたまりが達也の心を開放する。

「ほんまは俺だって愛しとる!そばにいて守ってやりたい!でももう無力は嫌なんじゃ!大人にはなれん!どうせ散る命なら、御国を守って散りたいんじゃ!」