「たっちゃん!」 その瞬間外界との壁は崩れ、達也は笑顔で、だけどどこか悲しそうな顔をして列車へと乗り込んだ。 その悲しい後ろ姿を見つめながら、優子は静かに息を吐いた。 いつもより赤く染まった唇を開け吐き出す吐息は、白い風となって雪にとける。 厳しい寒さを感じながら、優子は堅く口をしめた。