六十年後のラブレター


「ふっ…。」

押し殺すような泣き声が聞こえるたびに、達也は拳を強く握った。

「…っ…。」

痛いほど伝わってくる悲しみ。

どうしようもない現実。

やるせなさが胸を締め付けた。

「ゆっ…。」

達也は開きかけた口をつぐんだ。

迷いのない瞳。

大きく息を吸って言葉を吐く。

「いってきます。」