六十年後のラブレター


「日本が負けてきとる。俺も戦場へ行かんといけん。多分、ここへはもう――…。」

暴れていた体がとまる。

わざと言葉にしなかったその先は、優子の心を冷たく冷やした。

「…なんで戦争に行くん?死ぬかもしれんのに…なんで…。」

分かっていたことだった。

覚悟していたことだった。

しかし、死ぬという言葉を今耳にしたことで、何かが壊れた。

達也は優子をしっかりと見て呟いた。