六十年後のラブレター


これでいいと思っていた。

どうせなくなる命なら、せめてその時少しでも、君が辛くないようにと。

だけど、諦めるなんてできない。

手放すなんてできない。

この手で俺が守りたい。

俺だって…幸せになりたい。

溢れるような人を掻き分け、達也の手が優子を包む。

驚いた優子は泣き顔を見られないように顔を隠しながらその手をふりほどこうともがく。

拒絶すらも受け入れて、達也は震える唇で言葉を吐いた。