六十年後のラブレター


「…なんで、教えてくれんかったん?」

「…。」

「もうあたしのこと嫌いになったん?」

すがるような目に、達也は何も言えなかった。

「…。」

「…わかった。」

そんな達也の態度に耐えきれなくなった優子は、向きをかえて走り去って行った。

力一杯拳を握りしめる達也。

思い出が思考の邪魔をする。

「っくそ!」

達也は優子の後を追った。