六十年後のラブレター




ガタン…ゴトン…ガタン…ゴトン

まるでこの吐息のように途切れ途切れに車輪の音が聞こえる。

優子は荒い息を整えながら、ホームに入ってきた列車を見た。

大勢の人々が集まっている。

達也の姿を探すが、人が多すぎてよく分からない。

「っ…たっちゃん!」

泣き声まじりに優子は叫んだ。

背中から全身に浴びせられる声。

「…優ちゃん?」

優子は勢いよく振り向いた。

久々に見た、愛しい姿。

愛しい声。

乾いた音がホームに響く。

優子は思いっきり達也の頬を叩いた。

「なっ…!?」

達也は驚いて言葉にならない。

振り上げた手を見つめ、優子は静かに視線を落とした。