六十年後のラブレター


伝えたい想い。

伝えることのできない悔しさ。

自由のないこの世界のどこかで叫びたい。

抱き締めたい。

「俺…は…。」

「好き…。」

淡い光が顔を照らす。

達也は言葉を失った。

「好きなん…。」

優子の瞳からこぼれる涙が、木漏れ日に染まって美しい。

優子は叫んだ。

「ずっとずっと好きじゃった!」

大粒の涙が頬を下り、感情を煽る。

その時、二人の間を風が吹き抜けた。

達也は抱き締めようと伸ばした手を引き優子に言った。