暖かい日差しも暮れ、風が冷たく吹き抜ける。
重苦しい雰囲気を掻き消すかのように優子が口を開いた。
見合いの話がきたことを達也に話す。
達也は一瞬顔を歪め、視線を落とした。
「…そういうことぢゃぢたんか…。」
「嫌じゃ…行きたくない!」
「そりゃあいけん!向こうに悪い―――…。」
言い終わらないうちに、優子が口をはさんだ。
「たっちゃんはそれでいいと?」
「…。」
深い沈黙が二人を包む。
達也は顔を伏せたまま地面を見ている。
意地悪な質問をしたと分かっていた。
達也が答えに困るのも分かっていた。
しかし達也の口から祝福の言葉を聞きたくなかったのだ。
