木々が揺れ、雲が流れる。
愛しい姿を見つけ、優子は達也に抱きついた。
「ゆっ、優ちゃん!?」
頬を真っ赤にして戸惑いながらも、達也は震えている肩にそっと手をやり目を細めた。
どれほどの時間がたったのだろう。
優子は達也に全てを話した。
「たっちゃん…うちは間違っとるんかな。ただ家族で毎日笑っておれたらそれでええのに…。何も…望まんのに…。」
「…。」
「兄さんが…帰って来んような気がするんよ。」
優子は壊れたような笑顔を見せた。
「もう、会えんような気がするんよ…。」
「優ちゃん…。」
「嫌じゃ…うちの…たった一人のお兄ちゃんなんよ!…っわぁあああああぁぁっ!」
壊れていく優子を横に、達也は大きく息を吸って口を開いた。
