六十年後のラブレター


「ゆうやーけこやけーのあかとーんーぼー」

達也に手を引かれながら、優子は鼻をすすった。

「たっちゃん、何歌っとると?」

「優ちゃんは知らんか?赤とんぼの歌。」

「知っとるけど、それ、秋の歌じゃないん?今は夏じゃし、日は暮れとるけど、雨や雷でそれどころじゃないわ!」

恐ろしい目にあった優子は、つい強い口調で言葉を吐いた。