六十年後のラブレター


「もう大丈夫じゃ!」

雨か汗か分からない滴が達也の額に広がり、優子にこぼれる。

達也は落ち着いた優子の手を引いて蒙雨の中を歩き出した。

なだめるように歌を歌う。

忘れることのできない、思い出の歌。