六十年後のラブレター


「母ちゃん、まだかな。」

ため息混じりの言葉を吐いたとき、激しい豪雨と共に、鋭い光の刃が優子を襲った。

いきなりの雷雨。

幼い優子にとって、それはどんな化け物よりも恐ろしく感じられた。

不安が焦りを駆り立てる。

追われている気がして、優子は必死で走りその刃から逃げようとした。

しかし、どこまでも続く空に光は交差し続けた。