「遥!」
遠くからこうちゃんがこっちに走って来るのが見えた。
遅いよ、こうちゃん。
「やっぱりまだ混んでてさぁ…、なかなか買えなくて。ごめんな…。あ、でもほら!ちゃんと買ってきたから!」
はい!といって笑顔であたしにたこ焼きを渡してくるこうちゃんに、
あたしはさっきまでの不安がどっかに行っちゃって、安心につつまれて…
「うっ…うぅ…こ、こうちゃんのっ…ばかぁー…」
ためていた涙が溢れ出す。
「え!?たこ焼き嫌だった!?」
おろおろしだすこうちゃん。
ちがうの。ただ、こうちゃんが帰ってきてほっとしたの。
あたしはこうちゃんが買ってきたたこ焼きをうけとって、食べる。

