☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-



病室に、クラウドの悲鳴が響いた。

ウィングはハッとして、弟のいた場所へ戻る。

気を失ったはずのクラウドは目を覚まし、恐怖に瞳が見開かれていた。

「あ、助け、て、お兄、ちゃ…」

あの“悪魔さん”がクラウドの首筋に吸い付いていた。

見る見る小さな体から血の気が引いていく。

ウィングはただ見ていることしかできなかった。

「あ、あ、あ…」

がっくりと動かなくなったクラウドに、ウィングは何も感じることができなかった。

それよりも、自分のことで、頭がいっぱいで。

どうやって助かるか、それしか考えていなかった。

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

大声を上げてウィングは空いていた窓から決死の勢いで飛び出す。

一瞬体が傾いて、何とか体制を立て直し、村の方へ必死で飛んでいく。

こんなスピード、出したこともない。

制御しきれるかどうかすら、分からないのだ。

ただただ泣きながら、めちゃくちゃに飛び回った。

まるでそれは、網に囚われた魚のようで、ただ必死なのに、何の意味もない。


悪いことは続けて起きると、いったいどこの誰が言ってたんだろう。

家には母親も父親もいなかった。

でもそれは、若干の齟齬がある。

母親と父親がいるはずの家が“あるはずの”場所には、ただ空白が広がっているだけだった。


家が、ない。

生まれてからずっといた場所が。

居場所が…


「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

力の限り叫んだけれど、燃え盛る“滅びかけの小さな村”には応えてくれる者はいない。

「吸血鬼を見つけろ!!」

「村ごと焼き払え!!」

そんな無情な声が、悪魔の声が、ウィングに答えを教えてくれただけだった。