☆Friend&ship☆-季節はずれのモンスーン-


「待って」

「?」

ウィングはその声が信じられなくって、わずかに顔を上げた。

「連れていかないで」

テルは静かに先を促す。

「連れていくなら、僕も一緒だから」

キースは片目を失った顔で、それでも強くテルに言う。

「…あのな、その眼、誰にやられたか覚えてるんやろな、キース」

声が震えて、ウィングは軽くせき込む。

それにはだいぶ血が混じっていた。

テルは思ったより優しくウィングを放した。

何とか上体だけは起き上がると、ウィングは俯いたまま吐き捨てる。

「分かっとんなら、なおさら馬鹿や」

別に顔を合わせたくないとかじゃない。

ただ単に、もうそんな体力、残っていない。

「テルはんもゆうっとったやないか。お前は俺の飾りやったんや。俺はお前のことどうともおもっとらへん。ほんま、どうでもよかったんや」

止まらない。

言い出すといくらでもいえる。

「お前は足、不自由やったやろ?はたから見れば邪魔なお前を連れて歩くのは、俺のポイントがあがんねん。障害さえあれば誰でもよかったんや。はたから見て俺の印象が良くなれば、誰でもよかったんだよ!!」

最低のことを言っていることは自分でもわかっていた。

それでもいい。

どうせ、俺には失うものなんて、もう何も残ってはいない。

もともと、キースと自分しかなかったんだから。

「お前はまんまと騙されて俺についてきてたわけ。連れてきても何の不自由もなかったし、こっちからしてみれば何もかも得だったってだけ!!お前にとっての俺が何だったのか知んないけどさキース、俺とお前の関係はそんなもんだったんだよ!」

そう、それだけの関係だった。

キースが付いてくる理由なんてない。

それは当然で、当たり前だったけど、キースがずっと味方なんて、信じてた自分が馬鹿だ。

そんな自分が嫌だった。

所詮人なんて、こんなものなのに。