ゴン、と鈍い音がしてテーブルのジュースが吹っ飛ぶ。
ありゃりゃ、とテルは肩をすくめた。
「一口も飲んでなかったのに…もったいねぇ…」
「知るかいなっ!!」
軽快な突っ込みを披露したウィングはどさっとソファに腰かける。
「なんなんや?今の揺れ」
「ああ、星についたんじゃないかな、ワドっぽくないけど」
「キングキング。さっき出てったじゃん」
投げやりにそういうとテルは水揚げされたクラゲのように床につぶれる。
シルンが何気なく足を乗っけてきたが、そんなことはお構いなしにテルがうぎゃぁ、と叫ぶ。
「…なに?」
「なんだよそのたいどぉ」
「いつもこんな感じなんですか…」
ゼロはあきれたようにつぶやいた。
テルはぐぶぅ、と膨れたまま床に軟体動物のようにへばりつき、不満げに目を閉じた。
キングが操船しているということはすなわちワドに何かあったということで。
とどのつまり。
「畜生ワドと遊べないっ!!!」
「だから知るかいなっ!」
「お前に言ってねぇ!!」
ウィングとぎゃぁぎゃぁ言い出したテルをシルンは頬杖をついて眺めている。
「うるさ」
「だんだんテンションがワドに似てきたぜ」
テルは冗談っぽくそういう。
「ワドはこんな乱暴なこと言わないでしょ」
「そうですね…L君の方がある意味シルンさんより女らしいというか…おしとやかというか…」
「はぁ!?」
食ってかかるシルンを心底楽しそうにキースがなだめる。
「シルンちゃん可愛いよ」
「何それ、お世辞?」
「ううん。戦いが強い女の子ってすっごく頼りになっていいと思うよ」
「…」
シルンは神妙な顔をして頷いた。
「なぁ、真空おにごっこしねぇ?」
「なに、それ」
「真空で鬼ごっこするの!!」
「…」
肉体的に厳しいんじゃ、誰もがそう思う中、全員の気持ちを代表してキースが微笑みながら言った。
「楽しそうだけど、全員減圧死しないようにやめておこう?」
「えー。お前らの体ってそんなへなちょこなのかよぉ」
「ふつうの生物は真空では活動できないと思うよ」
「そお?ワドと俺はできるけどなぁ」
たぶんお前らふつうの生物じゃないんだろ。
今度こそ全員が沈黙した。


