トロトロミルクを固めていたワドは不意に船に走った衝撃に無意識に魔法陣を展開した。
操船室には大きく船の断面図が表示され、危険個所が赤く輝いている。
頭上にあるいくつかのポケットはすべて半開きだ。
隕石か何かがぶつかったらしい、そう踏んだワドはすぐさま頭上の放送用のマイクを引っ張り出した。
「船底に穴が開いた。緊急を要するものではないが不安なものは避難しろ」
数回繰り返すとマイクは回収され、ほとんど同時に右腕を突き上げる。
その腕にワイヤーが絡みつき、ワドを引き上げる。
その手で中指の近くにあったリングに指を通し引き下ろす。
どうやら相当なスピードでぶつかってきたようだ。
ライブ映像には大破した部屋から吐き出される大量の水が映っていた。
「…給水系統をやられたか」
位置にして前方、向かって右側のデッキから約2m。
航空に支障は出ないが、バリアが多少薄れ、防御の面では少しばかり問題ありだ。
たいていの衝撃になら耐えられるようにバリヤは張ってあったのだが、進行方向からの音速から光速の激突で粉々にされたらしい。
「…」
さらなる警報にワドは端正な顔をゆがめる。
今の隙を狙っての砲撃だ。
マストが裂かれたようでまともに進めない。
いくらなんでもタイミングが良すぎる。
「…もはやここまで来ると罠だな…」
着陸するはずのない星の大気圏を眺めてワドは足元からマイクを引っ張り出した。


