「おまちぃ!」
「…」
「あり?だぁれも歌ってないの?」
「…」
「そりゃそうですよ…」
ポップコーンとフライドポテト、鶏のから揚げとフライばかり持ってきた二人は沈黙に迎えられる。
「油分カットのがよかったなぁ…」
「サンドイッチも作った。そっちもノンフライだからそこまで熱量は高くない」
シルンのつぶやきを的確に拾ったワドがラップのかけられた紙皿を置いた。
サラダと卵ばかりのパンに肉食のゼロは顔をしかめたが、シルンは喜んでもぐもぐとほおばる。
と、いうか、ワドはどうして乙女心を見事に射止めるのだろうか。
シルンはキュン、としながらもぐもぐしていた。
「というかです…なんで火を通すんですか…」
「それが一般常識!!お前の偏食に何か付き合ってられるか!」
「生鮮物は刺身が一番です…」
肉まで刺身にすんなと言いたいところだが、文句を言いながらもから揚げに手を伸ばすゼロはなんだか子供っぽい。
ほほえましくなってシルンが笑った。
「キング、これを飲め」
「あれ、マジで作ってくれたの?さすが天才!!」
「…おだてるのも体外にしろよ」
「何や、その薬」
「ちょっとした特効薬だ。お前は飲むなよ」
「ん~はいよ」
「…」
何やその沈黙、と少し不満げにウィングが膨れる。
「…なんだその物わかりの良さは…かえって心配だ…」
「失敬な!!危険なドラッグにてぇそめたい奴なんかおるかいな!!」
「お前が言うのかそれ」
「まぁいいじゃん、本気でやばいと思ったら手を出さないのはいいことだし」
「本気でやばいの度合いをもう三段階ほど下げてほしいところだ。主に約二名」
「やくぅぅぅ!?」
「二名の方は自覚があるのね」
「…ちなみに、シルンちゃん、たぶん約の方は君が入ってるんじゃないですかね」
「え?」
不審な顔をするシルンにワドはカラオケのスイッチを入れて対抗する。
「歌え」
「嫌です」
即答されてワドはマイクをテルに渡した。
「ウィングとデュエットしろ」
「命令形!?」
「90点以上はじき出したらアイスでも作ってやる」
「うっしゃのったぁ!!」
乗せられやすいテルはルンルン気分で曲を選ぶ。
シルンも他人事だと気楽なもので、あれこれ吟味している。
「俺の了解は!?」
「あは、ワドのお手製のアイスクリームは天下一品なんだよ、本人は知らないけど」
「…」
「ま、ワドの作る料理なら何でも好きだぜ俺は!!」
「…そうか。それはどうも」
口説き文句のようなことを言われて困った顔一つせずに淡々と返すワドは少しひんやりオーラを醸し出していた。


