「ねえリーダー」
翌朝、サブは厳しい顔でワドを見つめた。
「どういうことですか」
ギュッと抱きしめているコートをつき出されて、ワドはゆっくり首をかしげた。
「どうした、狐の毛でも付いてたか」
「匂いが違う」
「…匂い」
「匂いが違うんです!お花の匂いがする!女の人の匂いがする!」
「…サブ、お前は毎日俺のコートの匂いを嗅ぐのが趣味なのか」
「僕だけじゃないです!誤魔化さないで!」
涙目で訴えかけるサブは傍目から見ると可哀想だったがワドは動じず、サブ、と無表情で言った。
「俺だって女の子と夜を過ごしたい日だってあるんだ。デートくらいでぎゃーぎゃーいうな」
「夜の!夜のデート!?」
「主さまどういうことですか!?」
「どういうことか…そういう事なんだが。普通に昨晩公園で会った子と少し一緒にいただけだ」
デートですらないな、待ち合わせもしてないし。
ワドはそう言ったが、リオーナギサは泣き出してしまった。
「僕たちはずっと主さまに愛を伝えて来たのに!」
「右に同じく!」
「…お前らに愛を伝えられても困る」
「そんな!リーダーはっ!愛に年齢は関係無いってっ!」
サブが叫んだ。
「…三人とも俺は大好きだ」
「浮気したの!?」
「浮気…いや、誰かと付き合った覚えはないんだが」
「リーダーはずっと僕たちの家族だって!」
「ああ家族だ。みんな大切だぞ」
四人の中には若干の違いがあったらしい。
早起きのキースはそれを見ていて、肩を竦めた。
「可哀想だよ、ワド。本気なのに」
「小さい子が大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになるって言ってるのと同じだ」
「…」
報われそうにないね、とキースは三人を哀れんだ。
なおも泣きながらワドのコートに顔を埋め、たまに期待のこもった眼差しでこちらを見つめる三人。
ワドはフワッと近づくと、三人の頭を撫でてやった。
「ん…リーダー酷いよ…このくらいじゃ許さないです…」
「主さまの意地悪…撫で撫でされても嬉しくなんかないもん…」
「うう…左に同じく…」
めちゃくちゃ幸せそうにしている三人に、キースは苦笑した。
「猫だったらゴロゴロ言ってるところだね」
よしよしされてるだけなのにあんなに幸せになれるなんて、そうとうワドのことが好きらしい。


