しばらく歩くと、そこはいつの間にか町になっていて、人々が楽しげに往来していた。
「通貨は基本的にありません。たまにコレクションとして通貨が売られることはありますが、何でもできる便利なお金というものは無いんです」
サブはそういいながら道を歩いていく。
土の見える石畳の道は、どこか優しく、中心に立った木々とうまくマッチしていた。
「街とは言っても、閑静な所ですからね、夜には星が綺麗に見えます」
「星?ここは異空間なんだろ?」
「そうですが、太陽は昇るし雪も降ります。残念ながら本物ではないんですけどね」
「はぁ?」
「リーダーが天地創造の如く作り上げたんです。天体ですら」
はじめは、ここは“不確かな聖地”だったんですよ。
伝説では、此処で創造神様が死んだらしいですけど。
その波動でここの世界は崩れ落ちて。
そういって、サブは幸せそうに微笑んだ。
「では、えと…ヒラヒラさん…?」
「ヒカリです」
「あと、ヒカリさん、僕と一緒にそこの建物に…キメラ、あとはよろしくな。つかちゃんとリーダーの別荘つれてけよ…っておいキメラ!」
気がつけばバテバテキメラは砂漠を放浪しているような虚ろな瞳で、ゆらゆらしていた。
「しっかりしろよキメラ!ったくもう!」
「うーあー」
「…駄目だ…」
皆さん、とサブは振り返ってこう言った。
「こいつ極度の引きこもり体質なんですよ。だからリーダーが来るまで…リーダーぁぁぁぁぁぁぁぁんんんんんぐうっ!!!」
「静かにしろ…」
口に押し込まれた拳ワドの拳に、がふがふ言いながら、サブはもがいていた。
「キメラ、大丈夫か。一応少しずつ庭に出てみろと言っただろう。その調子だと一歩も出てないな」
「…だって」
「キメラ」
「…うぅ」
泣いてしまった。
「だって、嫌だ…太陽嫌い…」
「分かってる。でも少しずつで良いから外に出ろ。身体に悪いんだから」
「…うっ」
また泣いてしまった。
「うわガキくせっ…」
「だって子供でしょ?仕方ないよ」
「でも何だよあのメソメソって。メソメソって」
「まあまあ」
「うぐうっ、リーダー、リーダーあっ!」
「黙れサブ。さっさとヒカリを案内だ」
「うう冷たいよ、リーダーが冷たい…」
「よしよし」
はいほらしっしと追い払われたがめげずにヒカリを連れていくサブ。
「あいつは一応年を取らない病にかかっててな…実際は18なんだが。中身も成長しなくなってないか」
ワドはサブを見送りながらそう言ったが、今度はキメラがピトッと腰の辺りに張り付いてしまった。
「う、うっ…」
「キメラ、ほらほらよしよし」
献身的に頭を撫でてやれば幸せそうにするので、しばらくそうしながらワドは溜め息をついた。
「…キメラ。成長しろ成長を」
多分成長してないのはあなたの前だけだと思います。
シルンは苦笑いしながらそっと思った。


