「よしよし、いいんだよしゃべれたって。僕はワドの声大好きだもん。ね?」
けっこう傷ついたらしいワドは黙ってキャンディーを頬張っていた。
キースの言葉にも、フイとそっぽを向いて無表情に無視する。
あーもう、とキースはうめいた。
「なにしてくれるんだよ馬鹿船長!あんなこと言われたら誰だって傷つくよ!特にワドはこう見えて結構ナイーヴなとこあるんだから!」
「んなこと分かってるってばうっせーなー。ほらワド、ごめんったら」
ワドは大好きご主人様の言葉にも耳を貸さず、シルンが持っていたホワイトボードをヒョイと取り上げた。
『謝らなくてもいい。俺はご主人様の傀儡なんだからご主人様の命に従ったま』
船長以外は“傀儡”が読めなかった。
しかしワドは問答無用とばかりにホワイトボードを取り上げられて、テルに真っ二つに折られてしまった。
「…」
「ワド、喋ろうよ、マジで」
「…ご主人様が嫌がるから…」
「全然いやがってないってば。ったくもう」
これだからワドは、と言わんばかりにテルはやれやれと首を振った。
「それよりもさ、ヒカリちゃんどうすんの?変な奴もいるみたいだし」
言ったのはウィングだ。
それを受けてワドは、遠慮がちに話す。
「ユートピアに連れていく。奥の手だがまあ最善の手だ」
「何ですか?ユートピアって」
ヒカリがそう聞いたが、思ったのはヒカリだけではないようだった。
「…船で話す。人に聞かれると良くないからな」
「んじゃさっさと戻るでぇー」
水晶が砕け足元に展開した魔法陣に、全員落ちていった。


