「ふぅん、で、メンズ版人魚姫になっちゃったわけか」
とりあえず落ち着いたテルはことのあらましを一通りシルンに説明する。
シルンは肩をすくめ、ワドの王子様誰なの、と笑う。
「まあ、感情豊かでいいんだけどもな?」
王子様はいねーよ、とテルは笑った。
『俺の噂ぁ?(^言^)ψ』
「…な、ちょっとウザイだろ?」
「うん…」
「つか噂を手書きで書くか?」
「本当に頭いいんだもん、びっくり…」
ちなみにキングは船に鎖で繋がれている。
ヒカリは目の前の洋服店の会計だ。
『あいつには悪いことをした…もっと早く寄ってやれば良かったんだが…』
「そんなことないよワド。途中寄り道して怖い目見るよりよっぽど良いでしょ?」
『あぁ…そうだな^ ^』
「お前さ、なんか顔文字の使い方間違えてないか?うん可愛いよ?可愛いけど表情筋皆無なのお前」
『そんなわけあるか…敵を嘲笑違う間違えたんだ見るなっ///(×△×)=⊃』
覗き込むテルを避けるワド。
途中で慌てたように手袋でホワイトボードを擦る。
全部消えていない。
「おい絶対間違えてる…そこで///は要らないって…っていうかお前は敵を嘲笑うタイプなのかよ?」
『むぅ』
本人はちっともむぅなんて顔ではないが、効果音が無駄に可愛いと街中にも関わらずテルは悶絶。
通行人が見て見ぬふりをしている。
「あれ…皆さん…?」
「ようヒカリ!服買ったみたいだな♪」
「…ええ、はい」
『どうだ?一生ここで過ごすと言うのも、あながち悪い話でもないだろ(^∀^)/』
「あの、ワドさん…?そのホワイトボードは…」
『さっき創った(笑)』
「…」
いや、(笑)じゃない。
「えぇっ、てか創ってたのかよ!?」
「詠唱は?呪文は!?」
『だから呪文なんて合図みたいなも』
「嘘だ、最高難易度の万能創造魔法を無言魔法でやってのけた!?」
ぎゃあぎゃあさわぐウィングとキースとテルはさておき。
さらにきゃー、と黄色い声でデロデロに甘えるシルンも無視して。
「あの…それってそんなにすごいんですか…?」
「言うなればそうだ!両手両足くくりつけられて目隠しされてボクシングするようなもんだぜ!?」
「…」
スポーツマンシップどこ行った、とヒカリは、あはは、と苦笑いするのだった。


