「キング、ワドが…」
テルが飛び出してきて、キングに言おうとする。
しかしキングはヒカリと激しく言い争い、それどころではなかった。
「どうにもならないんだよ!!だから俺が治療に当たってるんだ!」
「ワドさん一人を助けて、偽善者気取ってるの!?最低!!」
「違うって言ってるだろ!!」
テルは取り付く島もなくうろたえていた。
ワドの話か…?
偽善者?
偽善者ってどういう…?
「奴隷なんて間違って…」
「ない。ヒカリ、魔法科は中止だ、魔界史と公民について勉強しようか…」
「ワドさん!!」
「ワド!?」
あんなに縛ってきたのに、なぜ…
そう思って、テルは唇をかんだ。
気が動転してたんだ。
ブーツのまま縛るなんて…脱げばすぐに解けるのに…!
「現在、魔界には数多くの奴隷がいる。その奴隷は主に二種類に分けられる」
栽培奴隷と捕獲奴隷。
前者はそのまま、家畜どころか植物同然に栽培された生まれながらの奴隷。
大量生産が可能で、遺伝子操作によって品質が一定に保てることから、こちらが主流になっている。
もう一つ、捕獲奴隷の方だ。
そっちも名前通り、捕獲された奴隷だ。
主に堕ちた貴族や庶民、その下の貧困民層なんかけっこう捕まるらしいな。
質はいいんだが、悪いところがあるとすれば忠誠心のなさだ。
そのために調教師がいる。
イルカと同じに、人間に芸を仕込むってことだ。
だがそっちは採算が取れなくなることがままある。
色々金がかかるんだよ。
だから、高価だ。
分かったか、とワドはヒカリに尋ねる。
返事を待たずにワドはまた話し始めた。
決して許せないような、理不尽な、気分が悪くなるような話。
魔界の奴隷制度はずいぶん前から当たり前のように存在している。
大きな発見には奴隷の力が必要不可欠だった。
人権を無視して人体実験ができるし労働力にもなるからな。
そのためか、魔界は爆発的に発達した。
悪魔は悪魔らしく、道徳を捨てて、進化を選んだというわけだな。
さて、次は奴隷の栽培方法について確認しようか。
ゼロさん…いるんだろ。
仕組みを説明してください。
L君、とゼロがため息をついた。
「どうして君はいつもそうなんでしょう」
「説明してください」
「…幼いころから、父や母、周りが働くのを見させて、覚え込ませます。自分は卑しい身分だと。そして、機械的にその世代で最も美しい二人が何組か選ばれ、また子供を産ませます…」
本当に、むかむかするような話だと思えるようになったのはL君がわたしに道徳心のソフトを組み込んでくれてからですが、とゼロは付け加えた。


