次の授業までは30分の休憩時間が与えられて(長すぎやしないだろうか)ワドとテルは例の“お話し”をするため、ワドの部屋に閉じこもった。
そして今ヒカリは、キースやウィングと一緒に、口論をしていた。
「そんな、野蛮です!!」
「そんな怒らなくても…」
「だって、信じられない…!!まだ、まだ…」
ヒカリはギュッと唇をかんだ。
「奴隷制度が廃止されてないなんて!!!」
ヒカリはドアを開けようとしたところだった、その時ワドがテルに向かって叫んだ声を聴いたのだった。
「ご主人様、ご主人様ぁぁ!!!」
「!!」
ドタバタと音がして、そのあとまた静かになった。
そしてそのまま、ヒカリはキングに聞く。
あの二人の関係って、何?
「…ワドが一方的に思ってるだけなんだよ、自分は、テルの物だって」
「信じられない…!!」
「なあヒカリちゃん」
「信じられない…!こんな人たちだとは思わなかったです!!」
「違うんだって、本当に。ワドが勝手に…」
「そうだったんですね、それで…」
異様な栄養不足は、ひどい虐待を受けてたからなんだ、とヒカリは思った。
きっとゼロっていうのは、そういう施設のスタッフみたいなものなのかもしれない。
だからあんなに親しく…それに、テルに敬語を使ってたのは、そうだったからなんだ。
奴隷だったから。
「違うってのに…!!」
「おい、何言い争って…ああ、大体察した、ええで、説明しぃへんでも」
キースを連れてウィングが近寄って、少し離れた。
キースは悲しそうにうなだれた。
「なあ、聞いてく」
「奴隷制度なんて、人道的じゃない!!酷い!そんなこと、許されていいわけが…」
「あのな、奴隷っていうのは、魔界独特の文化で、俺らは違う。神族にもいくらか買ってるやつはいるみたいやけど…」
「おいウィング!!」
弁解するようなその答えに、ヒカリはさらにいら立った。
この人たちは考えたことがないのだろうか?
奴隷ってどんなにひどいものか。
地理の授業で奴隷貿易の話を聞いた時には、本当にショックだった。
どうしてわからないんだろう。
どうして…
「ねぇ聞いて、僕らはワドのことを仲間だと思ってる。でもワドはそう思ってないんだよ」
「口でならどうとでもいえます!!酷い、そんな、野蛮です!!」
「そんな怒らなくても…」
「だって信じられない…!!まだ、まだ…」
ヒカリは地面に向かって叫んだ。
「奴隷制度が廃止されてないなんて!!!」


