「バイトはテスト終わるまで休むの?」


「いや、今日はたまたま休みで…。
さすがに前日からテスト終了日までは休ませてもらうことになってるよ」


「そっか。勉強もバイトも頑張っているんだねっ」


「うーん…。
でもオレ、こんなで普通に青春ってヤツできるのかなぁ?高校生活は高校生のうちにしかできないだろ?」


???


『青春』に憧れがあるのだろうか?

そうだとしたら、元ヤンらしいといえばらしい発言に思えてくる。


是永くんの意図に合っているかはわからないが、

「バイトしてる事も、放課後勉強することも、こうしてわたしと他愛ない話をしてる事も、青春の一部なんじゃないのかなぁ?
些細な事柄でもいつか大人になって振り返ればすべて『青春』ってやつなんじゃない?」


なんて、恥ずかしながらも語ってしまった。


すると、是永くんは呆気にとられたような顔をして

「…あぁ。オレ、『青春』が特別な事だと思い込みすぎてたんだな。そっか…。そうだよなっ!」

そう言って可笑しそうにふきだし、わたしを見て

「オレ、神崎さんと話すの楽しいわ!」

と言うと、右手で顔を覆いながらまた笑うのだった。



是永くんが青春なんて小っ恥ずかしい事言い出すから、わたしも語っちゃったのに、そんなに笑わなくても…。
めちゃめちゃ恥ずかしいよー。


その後、駅までの道のりで何かを話した覚えはあるが、内容はさっぱり覚えていない。
わたしの頭の中はさっき笑われたことでいっぱいだったのだ。