ジリリリリリリッッ


凄まじい目覚まし音が耳を劈く。
五月蝿い。
「ん。」
起き上がって、小さく欠伸をする。
目覚ましを叩きつける様にガチャンと消し、ベットを降りる。
大きく伸びをして空気を吸う。
うん。いつも通り。
パジャマを脱ぎ捨てて、制服に着替えると脳裏にあの言葉が蘇る。
『パパのやり残した事をミチがやってくれ。』
バカ。
私は天才じゃないんだし、できるわけないじゃん。
私の名前は高橋ミチカ。
中三の受験生。
ママは事務。
パパは研究者のごく普通の女の子だ。
でも、今は少し普通の状況じゃない。
ママがパパと離婚して半年。
パパが心配で残った私だったけどすぐに間違いに気付かされた。
ママが離婚した理由はパパが浮気したからだった。
パパは中々のイケメンでモテる。
でも研究熱心で研究に入ると全然駄目なんだ。
研究バカで家族の事なんか知ったこっちゃない。
なのに、なんでママ以外の女を好きになるの?
ばっかじゃない?
ただでさえ、家族を幸せにできないのに。
ふざけんな。
剰えに、病気にまでなってパパの研究を継ぐだあ?
あり得ない。自分勝手過ぎて。
男の人っていっつもそう。