彼方の君へ



それから少し立った梅雨のある日


少女の長いまつ毛が少しだけ揺れた


そして、ゆっくり、ゆっくりと、


大きな綺麗な二重の目があらわれた


気付いた看護師が大慌てで医者を読んできた


そっと、医者はつぶやいた


「奇跡だ…」


医者のつぶやきは誰にも届くことなく溶けて消えた